「若手医師たちから、もう辞めたいと言われた時、引き留める気にはなりませんでした。ここに残っても状況が良くなる保証は何もありませんし、私も若ければとっくに辞めていましたから」
電話から聞こえてくるベテラン医師の声は、疲れ切っていた。
医師が次々と辞めていくとの情報が寄せられて、筆者が複数の東京女子医大・関係者を取材したところ、尋常ではない数の医師が一気に辞めることが判明した。
東京・新宿区に位置する東京女子医科大学病院。「本院」と呼ばれ、国内最大規模の1193床、医師数は831人と公表されている。この本院に勤務していた内科の医師、約170人のうち50人以上が、今年3月末までに退職した。
内科の3割以上が去ったことで、残された医師は当直業務が一気に増えたという。当直後、そのまま翌朝からの診療を担当するので体力的な負担は大きい。これが長期化すると、通常診療にも影響がでてくる可能性が懸念される。このほか、外科の医師も10人以上が辞めている。
東京・荒川区にある、東京女子医大の東医療センターは450床。医師数258 人の2割にあたる、約50人の医師が退職した。
東医療センターは、足立区に新しい病院が建設され、今年度中に移転する予定だが、働く医師が足りなくなる事態も懸念される。
千葉・八千代市にある八千代医療センターは、501床で医師数233人。救命救急センターなど、地域の重要な拠点病院だが、ここでも相当数の医師が退職していた。(3病院の病床数と医師数は公式HPから引用)
東京女子医大3つの附属病院を合わせると、実に100人以上の医師が減った計算になる。今年度に採用した医師は、この数に到底及ばないという。
関係者によると、一部の診療科が閉鎖され、入院治療の中止を余儀なくされた診療科も出ているという。
「あっという間に人が減ってしまいました。これまでと同じ診療ができなくなった科もあります。コロナの第4波が東京で始まっていますが、どこまで対応できるのか、まだわかりません」(ベテラン医師)
「全体で何人の医師が辞めたのか、まだ病院側から正式に知らされていません。ただ、当直業務ができる医師が、半分になったと聞きました。これからが、大変になると思います」(30代医師)
医師の一斉退職に関して、東京女子大の広報室に質問状を送ったところ、「回答できない」という返事だった。
関係者によると、本院の内科医師が大量に退職したのは、新型コロナの対応をめぐって、臓器別に分かれている診療体系を再編する計画が影響した可能性もあるという。ただし、取材を進めていくと、決定的な理由は別にあるとわかった。
30歳の場合、東京女子医大の基本給は25.9万円、東京医大:31.1万円。これに対して、日赤医療センター:41.1万円、がん研有明病院:49.7万円。(東京医労連調査部「賃金・労働条件実態 2020年度版」より)
病院によって資格手当などが加算されているので、あくまで参考値だが、東京女子医大の給与が低いことに変わりはない。
全文
https://toyokeizai.net/articles/amp/423926?display=b&_event=read-body
引用元: ・【東京女子医科大学】看護師400名に続いて医師100人超が退職 [和三盆★]
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